失われた35年
1.伸び悩む経済
トランプ関税が吹き荒れる中、世界で経済の低迷が続く。日本の株式市場は7月以降急伸、バブル崩壊前1989年12月最高値の3万8千円台を遙かに超え4万5千円台に迫る。しかし、日本のGDP成長率予測は1%を切る。
1990年から失われた35年の日本経済。OECD調査によると1991年を100とすると日本の平均賃金は30年間で3%しか伸びていない。OECD加盟国平均で約33%上昇している。
国際経営開発研究所(IMD)が公表した2025年の世界競争力ランキングで日本は35位。失われた30年前の1989年-1992年は1位と絶好調だった。
2.一人当たりの稼ぎはいくら
2025年の世界の1人当たり名目GDPランキングの1位はルクセンブルク。140,940ドル(1ドル147円計算で:約2,071万円)、2位はアイルランドの108,920ドル、日本は38位で33,960ドル(約499万円)。
ルクセンブルクは小国で人口約68万人、ベネルクス三国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)の一つでベルギー、ドイツに隣接している。何故、日本の4倍にあたる一人2千万円稼いでいるのか。
世界屈指の金融センター(GDPの25%)と宇宙ビジネス。宇宙関連企業が70社ほど活動しており、GDPの約2%を占める。そして、国外からの越境労働者(フランス、ドイツ、ベツギーから約23万人)が働く。
EUの中心としての地理的条件にも恵まれている。
3.世界経済の見通しは減速か
「貿易の歪みに由来する見かけ上のレジリエンス(回復力)が低下する中、世界経済成長率は減速する見込み」とIMF(国際通貨基金)は7月29日、世界経済の見通しを発表。
世界経済の2025年成長率は、2025年4月予測の2.8%から7月3.0%へと僅かに上方。先進国の成長率は4月予測の1.5%と変わらず。一方、新興・途上国の成長率は4月予測の3.7%が7月4.1%と少し回復の見込み。
2025年 米国 1.9% ドイツ 0.1% 日本 0.7% 中国 4.8%
2026年 米国 2.0% ドイツ 0.9% 日本 0.5% 中国 4.2%
※世界経済見通し(WEO)2025年7月/世界経済成長率予測
(Written by 川下行三 25/08/25)