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コラム 人と経営
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トランプ関税

1.関税発令

米国のトランプ政権は4月9日、60(日本も含む)の国や地域に相互関税を発動。既に4月5日には全ての地域や国に一律で10%関税を引き上げている。しかし、4月10日に相互関税の措置を90日間停止すると発表。

関税はモノを海外から輸入する際に課されるもので、輸出先が負担するのではなく、輸入する側が支払う。即ち、輸入する事業者がその国の税関に関税を支払う。

関税が引き上げられると、輸入する際の費用が上がり輸入その他の事業者は、関税の引き上げ分を販売価格に上乗せすることにより、値上げになり販売の減少につながることが予想される。

2.1930年代の悪夢再来

今から95年前、1930年米国でスムート・ホーリー法が施行された。前年からの大恐慌で世界経済は壊滅状態。当時の米国大統領フーバーの失策と言われている。

スムート・ホーリー法は米国の産業を守るための保護政策で、米国が輸入する2万品目に平均60%という高い関税をかけた。それにより、その後3年間で世界の貿易量は50%以上減少した。

当時、欧州の国々も対抗措置をとり関税率を引き上げる競争を誘発し、米国の貿易は激減。保護主義で自国の産業を立て直せなかった。保護政策は経済的効果がないことを90年前に実証している。

3.闇に突入する世界、日本は

トランプ関税によりこんなシナリオ、悪の連鎖が始まる。

他国が報復関税や対抗措置をとる→世界貿易が冷え込む。サプライチェーンが混乱、投資減少→世界の経済成長が停滞・後退→新興国・輸出依存国が債務危機・金融危機に陥る→金融市場が動揺し、世界同時不況へ。

日本への影響も大きい。日本はGDPの約15%を輸出が占めている。その中で対米輸出は約2割、20兆円。特に影響を受けるのは輸出依存でグローバルにサプライチェーン(中国、メキシコでの生産)を持つ主力産業だ。

トランプ関税が無秩序に拡大し、世界が協調を失えば、世界経済は深刻な混乱に直面する。しかし、冷静に各国が対応し、再び多国間のルールや協調に戻れれば、最悪の事態は避けられるかもしれない。
(Written by 川下行三 25/04/10)
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