格差社会が進む
1.日本の格差
今年の春闘は、昨年や一昨年と比べると厳しいだろう。賃上げはそれほど進まない。大企業と中小企業の収益格差は拡がっている。そして、企業の収益も過去最高の企業と落ち込む企業の両極になりつつある。
大手企業も同じで同業種でも、2024年3月期決算で史上最高の営業利益5兆円を超えたトヨタ自動車と2024年4-9月半期で前年同期より営業利益が90.2%減、最終利益が93.5%減と大幅な減益になった日産自動車。
格差は個人の所得格差や資本格差として表れている。大企業の労働者と中小企業の労働者、正規雇用と非正規雇用、若年層と高齢層、一億総中流階級と呼ばれたのは50年前、昔の話だ。
2.世界の所得格差
所得や資産がどれくらい平等に分けられているか所得格差を見るうえで欠かせない指標がジニ係数。所得の均等度を0から1までの値をとり、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きい。
厚生労働省が2023年に公表した年金等の社会保障や税による再分配後の所得のジニ係数(2021年 世帯単位)は 0.381で1999年以降0.38前後と横ばいで推移している。
ジニ係数の国際比較では、北欧のスウェーデン、フインランド、デンマークやオランダ、ドイツ等は0.3以下で格差が比較的少ない。米国や英国、イタリアなどは高く、日本はその下に位置する。
3.一人当たりの豊かさ
日本の一人当たり名目GDP(2024年 IMF調査)は32,859ドルで世界39位。前年の34位から順位を下げた。10位のデンマークは69,273ドル、15位のスウェーデンは57,213ドル、米国は6位の86,601ドル。
ドル換算での一人あたりGDPは日本の円安が影響している。内閣府の発表では2023年度の一人当たり名目GDPは478.7万円となる。一人当たりGDPはその国の人々の平均的な豊かさを表す。
日本が下位に転じている原因は円安と生産年齢人口の減少、労働生産性の低さが大きい。2023年の日本の労働生産性(時間当たり及び就業者一人当たり)は56.8ドルで、OECD加盟国38カ国中29位になる。
労働生産性を上げるにはどうすればいいのか、次号以降で述べたい。
(Written by 川下行三 25/01/10)