物価高はいつまで続く
1.消費者物価は上昇
2024年度の平均の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が、2023年度より2.7%上昇した。3年連続で2%を超えた。米類は昨年の4月と比べると98.4%上昇している。
5月23日に発表された総務省の消費者物価指数によると前年同月比(4月)総合指数3.6%の上昇。生鮮食品を除く総合指数は3.5%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は3.0%と上昇が続く。
外食は前年同月比4.1%上昇、生鮮食品を除く食料7.0%、ガソリン6.6%の上昇と個別の高さは際立っている。5月22日からはガソリンの定額補助が始まるので一部では有るが少し厳しさが緩和される。
2.実質賃金の目減り
5月22日に厚生労働省が発表した令和7年3月分毎月勤労統計で、現金給与総額は前年同月比2.3%の上昇。ボーナスや残業などの一時金を含まない所定内給与は、1.4%と僅かに上昇。
現金給与総額を消費者物価で割った実質賃金は、3月は前年同月比マイナス1.8%と減少。1月マイナス2.8%、2月マイナス1.5%と3か月連続、実質賃金が低下している。
消費者物価が約3%の上昇、賃金の伸びが約2%。今春闘の賃上げ予想は4%から5%、中小企業はそこまでは届かない。賃上げが物価上昇に追いつかない状況が続く。
3.デフレからインフレに
1990年以降約30年続いたデフレが2022年以降インフレに転換したと思われる。しかし、政府は未だにデフレ脱却をしていないと認識。
5月22日の月例経済報告では、「景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」。「先行きについては、雇用・所得環境の改善・・・米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている」と。
全国中小企業動向調査(2025年1-3月期実績、4-6月期以降見通し)によると小企業の景況は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。当面の経営上の問題点をみると、「売上不振」が32.5%と最も多く、次いで、「原材料高」 (19.8%)、「利益減少」(18.6%)の順となっている。
物価高はコスト高を招く、企業・個人両方について重要なテーマだ。少しずつ体力を消耗する。
(Written by 川下行三 25/05/25)